体験談『「化学物質過敏症」「電磁波過敏症」との5年間』(1/3)

ひまわり
山中里子(元教員)
2008年3月25日
2003年の3月末に化学物質過敏症を発症してから間もなく丸5年になります。4年半を経過した昨年の10月に初めて青島先生の施術を受け、7回、4ヶ月ほどでほとんど以前の状態に戻り、夢のようです。青島先生、岩園先生本当にありがとうございました。スタッフの方たちにも親切にしていただきました。今となっては「過敏症」時代(?)がむしろ夢か幻のようです。一体あれは何だったのだろう、と不思議な感じさえします。
シックハウス症候群ではないかと思った時から、(変化のない時は中断しながら)パソコンやノートに手書きでメモを取りました。メモと頭の整理に思いのほか時間がかかりましたが、この5年間を事実に即して振り返ることで、私なりの区切りをつけたいと思ってまとめました。冗漫になりましたが、適当に飛ばし読みしていただければ、と思います。

(Ⅰ)経過の概要
(Ⅱ)時間の経過にそって、項目別の補足説明
(Ⅲ)メモ(出来事、体調などの抜粋。過敏症関係の本には(Ⅲ)で購入順に番号を付し、(Ⅰ)や(Ⅱ)で言及する場合は番号と書名を記した。書店で買ったため日付がはっきりしないものもある。専門的なもの以外はあまり間をおかず一読した。読み返した部分も多いが、今回拾い読みした限りでも記憶から漏れたり、読み飛ばしていたりした部分がかなりあった。)

(Ⅰ)経過の概要

(1)化学物質過敏症:「原因物質」から逃避の日々(2003年3月29日~)

職場で改修して間もない建物に移った日に発症、可能な限り古い建物で仕事をしたが、改修後の建物に30分もいると頭が重くなり1~数時間いると激しい頭痛。夜、背中や肩が痛く、翌朝は疲労・脱力感でなかなか起きられない状態が続いた。
04年8月に専門の病院で「徐々に進行するのが普通で、発症の日時がはっきりしているのは珍しい」と言われた。後日、接着剤の専門家の著書で、「床下調査から上がって2時間ほどしたとき、突然頭をガーンと殴られたように」なったのが、シックハウス症候群の始まりだったという記述を読んだ。この方の場合は防蟻剤による有機リン中毒であることが後に判明したという。【(5)井上雅雄『シックハウスの防止と対策』pp. 24-25】
私の場合軽症という診断だったが、瞳の収縮・拡大や眼球運動などの異常は発症直後だったらもっと強かったのではないかと思う(負荷試験が怖いのもあって受診が遅れたが、負荷試験は不要だろうとのことだった)。受診後間もなく、翌05年3月に退職することに決めた。避難場所にしていた古い建物の改修が迫って本当に居場所がなくなる、扶養家族はなく、年金の受給資格もあるなどの理由で決断は速かった。たとえ治療費用が出るにしても、これといった治療法もなさそうだし、診断も難しそうだし、何よりも、手続きをやり通す自信がなかったので、労災の申請はしなかった。
患者さんたちの手記を読むと確かに私は軽い方だ。それでも、本来の仕事場にいるのは不可能だし、04年夏以降、問題の建物だけでなく、化粧品、整髪料、シャンプー、合成洗剤の香料などにも反応するようになり、仕事や社会生活に支障を来した。また、ガスの消し忘れ、鍵のかけ忘れが頻繁にあり、秋口には、電話をかけようとメモを見た後、三桁ぐらいで後が続かなくなる、買い物に行ってもボーッと立ちつくしていることもあり、辞職を決めてよかったと思った。寒くなると、これらの症状はほぼ解消したが、香料などへの反応はむしろひどくなった。(避難場所の古い建物は空調ではなくスチーム暖房だった。)
05年3月に退職後、自宅にいた間は時々散歩などもしてほとんど問題なかったが、父の入院の付き添い(7月)、葬儀(8月)などで悪化し、中耳炎の手術(12月)も受けることになった(いずれも後述)。主治医に化学物質過敏症の専門家の意見を聞いてほしいと言われ、10月4日に専門病院を二度目に受診した時、診察を待っていた一人が、「化粧品など今まで何ともなかったものにまで反応するようになって悪化していると思ったが、先生は検査結果を見て良くなっているとおっしゃった」と言うと、同感の人が数人いた。私も検査では正常に戻っていたが、実感とはいささかずれていた。12月7日の手術以降半年間は、自宅内では再び順調だった。

(2)電磁波過敏症:試行錯誤の日々

(2006年6月~)

06年6月7日、帰省先で思いがけず頭痛、吐き気などで体調不良になり、9日に帰宅後、【(8)『電磁波・化学物質過敏症対策』】の電磁波の部分を読んで(化学物質の部分は約1週間前に読んだ)、これだと思った。しかし、携帯電話もかかりにくいような所でなぜ?と思ったが、無線LANを使っていたことが後で分かり、そのせいではないかと思った。
7月中旬、パソコンにも反応するようになり、下旬以降、パソコンの使用は最小限にする。
自宅でも安心できる居場所がほとんどなくなったので、約半年間あれこれ試行錯誤を重ね、12月から階下では自由に暮らせるようになった。試行錯誤は以下の通り(いずれも06年)。

(1) 6月下旬以降、半身浴を行い効果があった。(後述)
(2) 6月から12月にかけて、金属による遮蔽を種々試みて効果があった。(後述)
(3) 10月から週一回、近くの太極拳教室に通う。楽しく、体調にも良いようなので続けている。
(4) 12月21日以降、起床前に呼吸法を行う。気分が良くなるので今も続けている。(後述)

(3)気功との出会いから回復まで

(知識としては06年6月~、実際には07年6月~)

前述の【(8)『電磁波・化学物質過敏症対策』pp.92-93】で、「中国の研究では、気功士が発する気に抗ガン作用、抗ウィルス作用があると報告されている」、気功士が発するアルファ波やシータ波の「周波数と治療効果に何らかの関係があることは確か」らしい、として気功や太極拳を推奨していたが、何となく縁遠いことのように感じた。
約1ヶ月後(7月中旬)、化学物質過敏症や電磁波過敏症の研究と治療で知られる「ダラス環境医学治療センター」(アメリカ、テキサス州)では、「身体のエネルギーバランスを回復するため」気功療法が治療メニューに採用される場合がある」【(12)『電磁波過敏症』p. 72】、という記述に出会い、やっと私の頭の中で気功と過敏症が結びついた。同書では、気功で劇的に回復しているという「木村麻莉」さんの体験記に興味津々だったが、手がかりは『病気がすべて治る「気」の医学』のみ、それより何より、時々近くのスーパーへ食品を買いに行く程度で遠出は不可能な状態だったので、とても通えないと諦めた。
06年12月以降、金属による自宅の遮蔽のおかげで心身共にかなり落ち着いた。
07年3月下旬に【(12)『電磁波過敏症』】を再読、アースによってパソコンもかなり使えるようになった(後述)ので、インターネットで検索して青島先生のご著書を購入、大明気功院のホームページで福田純子さんのノーカット版の体験記も読んだ。内容的には「木村麻莉」さんの詳細な後日談プラス貴重なアドバイス満載といった感じで、大変参考になった。
3月末に青島先生のDVDも買ったが、実際に大雁功短縮版の練習を始めたのは6月7日。初めは短縮版のみ約30分、7月上旬までに一通り大雁功も覚えて、朝晩約40分行った。徐々に体調も回復し、少しずつ外出もしてみて大分自信がついたので、9月の中頃思い切って気功院に予約をお願いした。

10月9日(火) 第1回施術:

東海道線に乗り換えてから頭がかなり重くなり、やがて頭痛も始まったので予約時間まで1時間半あったが直行した。施術で頭も身体も軽くなり、帰りの東海道線では支障なかった。帰りの電車では防虫剤の強い臭いが気になったが後で症状は出なかった。
翌日以降パソコンを数時間使ったが、これまでよくあったように右肩が重くなる感じはなかった。

10月17日(水) 第2回施術:

電波探知器(後述)で測ったら、東京駅と横浜駅のホームは非常に強かった(前回は電池切れで測れなかった)。私はその場では何も感じなくても後で症状が出ることが多いのだが、問題なかった。(以後、電波探知器は休眠状態)。
パソコンは今までと違って時間を意識せずに使ったが、化学物質に関しては第4回目が終わるまで積極的に触れることはせず、安全な自宅でノホホンと過ごした。

10月30日(火) 第3回施術:

前回以降とくに不都合はないと思っていたが、青島先生の施術開始後間もなく、「何か悩んでいるでしょう」と言われた。とっさには思い浮かばなかったが、25日にあまり親しくない知人から数十年ぶりに電話があって、ガンで大変だという話を聞いたのを思い出した。もう一つあるでしょう、と言われて、過敏症仲間からの電話の話もすると、「ほら、病気をもらってる」とおっしゃった。
11月2日に、発症以来始めて電車や満員バスに乗ってコンサートに行ったが症状は出なかった。
8日には、美容院で今まで避けていたトニック(?)を使ったらその晩ほとんど眠れなかった(美容院のシャンプーとトリートメントは発症後も問題なかった)。また、太極拳教室で化粧品(?)の匂いが気になった。

11月20日(火) 第4回施術:

青島先生にトニックと化粧品の匂いの話をしたら「避けていると治らないよ」とおっしゃったので、(風邪で2日間寝込んだ後)11月28日に新築の図書館で1時間過ごしたが、症状は出なかった。(壁面は少ないが、木製の階段付近はかなり臭いがした。)
12月6日には同図書館で4時間半(大部分は自習室のような比較的狭い部屋で)過ごし、帰省先で使っていて最も苦手な合成洗剤トップを買って帰って洗濯をし、居間に干した。翌朝、静功の時、途中から右肩中心に重く、不快になったが、終わり頃にはすっかり軽くなった。

12月11日(火) 第5回施術:

これまで毎晩夜中にトイレに行っていたが、5時頃まで熟睡できることが多くなった。
1月8日、猶予してもらっていた耳鼻科の術後1年のCT検査を(1年遅れで)受けた。

08年1月9日(木) 第6回施術:

朝、出かける前に十数分気功。満員電車から新幹線に乗り継いでしばらくすると頭痛がしてきた。ずいぶん久しぶりのかなりひどい頭痛だったが、気功院での練功、収気で大分よくなった。先生の施術後も多少残ったが、ほとんど支障ない程度で、帰宅した時には治っていた。起床時は気分が良かったので、前日のCT検査関連ではないと思う。後知恵だが、別に悪いところもないのに、習いたての悪い気を出す気功を漫然と大雁功の後で行って気が抜けたせいではないか(生兵法は大怪我の基?)、と反省するとともに気功の威力を再認識した。
1月以降は、夜中にトイレに起きるのは数日に1回程度。

2月7日(木) 第7回施術:

デパートの化粧品売場の香りが楽しいくらいになった。発症前にほぼ戻ったような感じがする。外出の翌日などに、眠りが少し浅かったり、トイレに起きたりすることがあるが、さほど困るほどではない。

●1回目の施術後すぐに、パソコンと同じように化学物質にも積極的に接していたら、もう少し回復が早かったかもしれない。

(2/3)へ続く